モイラの裔 松野志保歌集

「モイラの裔 松野志保歌集」
松野 志保

青い花　そこより芽吹くと思うまで 君の手首に透ける静脈
非在の「性」との目合、相似の兄弟のように震える「君」との友情は、
どのような顛末を迎えるのであろうか。

福島泰樹解説「ネオロマンチシズムの荒野へ」五十枚所収


戒厳令を報じる紙面に包まれてダリアようこそぼくらの部屋へ
真夏日の螺旋階段なかばにて君という鮮烈なダメージ
エルサレムの丘には芥子の花赤く満ちたりいかなる旗も立てるな
紫陽花を捧げ持ちつつ小さくて冷たい君の頭蓋を思う
　　　　　　　　　　　　＊
反戦平和への祈り、呪われた民族の歴史などという観点から歌われているのではない。
しかし、必死の投石を繰り返す彼らの、砕けたコンクリートの石塊に匹敵するほどの力をこめて
この対の一首は、創られている。
そう、歌も武器になりえるのだ。
（福島泰樹解説「ネオロマンチシズムの荒野へ」より）

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本・音楽・ゲーム > 本 > 文学/小説
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やや傷や汚れあり
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